位牌や墓石には、亡くなられた方の年齢が表記されています。
ほとんどの場合、そこには【行年〇〇歳】や【享年〇〇歳】となっています。
檀家様からよく質問されるのが、
- 位牌やお墓に年齢を表記する時には、【行年】と【享年】のどちらにすればよいか?
というものです。
故人の年齢を表記する場合には、行年と享年のどちらも用いられます。
同じ『故人の年齢を表す』ものでありながら、なぜ二通りあるのでしょうか?
そして、それぞれにどのような意味があるのでしょうか?
《行年とは?》
私たちが一生懸命に生きていくことは、じつは『娑婆世界での修行』なのです。
娑婆世界というのは、要するに【今私たちが生きているこの世界】のことです。
つまり、私たちはこの世に生まれた時点でもう【修行】が始まっているのです。
ですから、『行年』というのは、【この世で修行をしてきた年数】であり《何歳まで生きたか》を指す言葉です。
《享年とは?》
私たちの命は、仏様から頂いたとてもありがたくて貴重な命です。
ですから、『享年』というのは、【仏様から享(う)けた命の年数】であり《仏様から享けていた命の年月》を指す言葉です。
享年とは【年月】を指す言葉なので、本来は『享年〇〇』とし『~歳』は必要ないものです。
しかし、実際のところは『享年〇〇歳』とすることがほとんどです。
《満年齢と数え年》
年齢の表記において注意すべきは行年や享年だけではありません。
故人の年齢を、
- 【満年齢】で表記するのか
- 【数え年】で表記するのか
ということを決めなくてはいけません。
まず、【満年齢】とは、あなたが日頃いろんな書類などに記入している年齢のことで、
- 生まれた年を『0歳』として、誕生日を迎えるごとに1歳増える年齢
のことをいいます。
次に、【数え年】とは、古くから使われてきた年齢の数え方で、
- 生まれた日を『1歳』として、元旦を迎えて更に1歳増える年齢
のことをいいます。
【数え年】は昔からある年齢の数え方なので、お墓や位牌ではよく使用されます。
しかし、1902年の『年齢計算ニ関スル法律』の施行により、以後は満年齢を使用する機会が増えていきました。
ですから、今あるお墓や位牌には、もしかすると【満年齢】と【数え年】の両方が入り混じっているかもしれません。
【満年齢】を使用している現在においては、【数え年】を使用すると間違いを招いてしまう可能性があるので、お墓や位牌への表記を【満年齢】にするお寺も増えてきました。
ちなみに、当院でも年齢は【満年齢】を採用しています。
《行年と享年のどちらにするべきか》
亡くなった方の年齢を表記する場合、一般的には【行年〇〇歳】や【享年〇〇歳】となります。
では、位牌や墓石へ表記する際には【行年】と【享年】のどちらが正しいのでしょうか。
じつは、どちらが正解ということはありません。
故人の年齢の表記に関しては、基本的にはそれぞれのお寺の『住職の考え方』によって違います。
ですから、同じ宗派や地域でも、お寺の墓地を見ていると【行年】と【享年】が混在しています。
あなたが位牌や墓石への年齢の表記で【行年】と【享年】で迷ったら、あなたのお付き合いのあるお寺の住職に確認をするようにしましょう。
そのようなお寺がないのであれば、ご家族とよく話し合って決めましょう。
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