お葬式は故人との最後のお別れの場です。
最後のお別れとなれば、故人の姿を写真に撮って残しておきたいと思うことでしょう。
また、お葬式の様子を撮って、その後の参考資料として記録を残しておきたい場合もあるでしょう。
しかし、「亡くなった人の写真を撮っても大丈夫なのかな・・・?」と心配になってしまう人が多いです。
はたして、お葬式の様子や故人の姿を写真に撮ってもよいものなのでしょうか?
また、写真を撮る際にはどのようなことに注意するべきなのでしょうか?
この記事では、
- お葬式で写真を撮ることの是非
- お葬式の写真を撮る目的
- 写真を撮る時の注意点
について書いています。
お葬式は深い悲しみの中で執り行われます。
故人の尊厳を守り、遺族の心情をよく考えた上で写真を撮るようにしましょう。
《お葬式で写真を撮ることは問題ない?》
お葬式が終わって火葬をしてしまうと、もう二度と故人の姿を見ることはできません。
ですから、故人の姿を写真に撮って残しておきたいと思うのは自然な心理です。
しかし、多くの人は、「亡くなった人にカメラのレンズを向けてしまっても大丈夫かな・・・。」と心配になります。
故人の姿やお葬式の様子を写真に撮ること自体は問題ありませんので、その点はご安心ください。
ただし、後述しますが『お葬式で写真を撮るときの注意点』を厳守することが条件となります。
まずは喪主や遺族の気持ちをよく考え、必ず注意点を守って、それから故人の姿や式の様子を撮るようにしましょう。
《お葬式の写真を撮る目的》
最近ではお葬式の様子や故人の姿を写真に撮るというケースが増えています。
今やほとんどの人が持っている携帯電話には【カメラ機能】がついており、誰でも手軽に写真を撮ることができるので、その影響もあるのでしょう。
では、みなさん何のためにお葬式の写真を撮っているのでしょうか。
〖故人との最後の思い出〗
お葬式の写真は、
- 『故人との最後の思い出』
として撮ることがほとんどです。
お葬式は故人の姿を見ることができる最後の場です。
ですから、故人との最後の思い出として写真を撮ることが多いのです。
たくさんのお花に包まれた故人のキレイな姿を写真に残しておきましょう。
〖今後の参考資料として記録する〗
お葬式の写真を撮るのは、
- 『今後の参考資料にするため』
という人もいます。
これは、参列者ではなく遺族が写真を撮る場合です。
お葬式では、喪主や遺族はとても忙しくて大変です。
特に喪主は、お葬式のあらゆることを判断し迅速に決定しなければならず、心身ともに疲れてしまいます。
しかし、大変な思いをしたにもかかわらず、【何を】【いつ】【どのようにして】【数はいくつ】といったお葬式に関する具体的なことをちゃんと覚えている人は少数です。
ですから、しばらくして他の家族が亡くなった時に、また同じように一から判断をすることになってしまうのです。
そうならないためにも、供えられた生花や食事の時の様子など、お葬式全体の様子を写真に撮って記録しておくことで、いざという時の対応をスムーズにできるようにしておくのです。
〖親戚の集合写真を撮る〗
お葬式では多くの場合、遺族だけではなく親戚も参列をします。
つまり、お葬式は【親戚みんなが集まる機会】の1つにもなっているのです。
普段はほとんど会わないような親戚でも、お葬式では顔を合わせることになります。
そこで、お葬式の時に、
- 『親戚の集合写真を撮る』
ことがあります。
なかなか集まることができない親戚みんなの写真を、故人の弔いの場を借りて撮影するのです。
お葬式での集合写真は、出棺をする前に、故人の棺の周りに親戚全員が集まって撮ることが多いです。
しかし、お葬式は悲しみの場であるため、親戚みんなの悲しい顔を撮っても仕方ないという人もいます。
お葬式での集合写真は、遺族や親戚同士で話し合ってから撮るようにしましょう。
《写真を撮るときの注意点》
当たり前ですが、写真というのはその時の様子を画像として残すものです。
ですから、お葬式はデリケートな場面なだけに、写真を撮るときには注意しましょう。
特に、あなたが喪主や遺族という立場ではなく、参列者の立場で写真を撮る場合は十分な注意が必要となります。
ここからは、お葬式で写真を撮るときの注意点について紹介します。
〖必ず喪主や遺族の許可を得る〗
あなたが参列者の立場として参列し、その際にお葬式の写真を撮りたい場合は、必ず喪主や遺族の許可を得るようにしてください。
喪主や遺族によっては「写真を撮られたくない」という人もいます。
携帯電話のカメラ機能があるからといって、無許可で撮るのはNGです。
どんなに写真を撮りたくても、許可なしで撮ることは絶対にしないでください。
また、写真を撮ること自体を控えるべきケースがあります。
それは、故人が【事故】や【事件】などで亡くなったケースです。
【事故】や【事件】というのは、まったく予期できないことで、また理不尽な理由で亡くなることもあり、遺族は非常に深い悲しみの中にいます。
そのような状況で遺族以外の人が写真を撮るというのは、遺族への配慮に欠ける行為ではないでしょうか?
〖フラッシュをたかないようにする〗
お葬式というのは、故人を偲んでしめやかに執り行われるものです。
ですから、お葬式の写真を撮るときにはカメラのフラッシュをたかないようにしてください。
故人と最後のお別れをしているのに、その近くでピカッピカッと光っていたらとても迷惑です。
遺族をはじめ参列者の心情を考えれば、フラッシュは控えるべきでしょう。
どうしてもフラッシュをたく必要があるときは、ほんの数回程度に抑えるようにしましょう。
〖できるだけシャッター音を鳴らさない〗
カメラで写真を撮る時にはシャッター音が出ます。
静かな式場で何回も「ピピッ♪」とか「カシャッ!」などとシャッター音が鳴っていると、やがてその音が気になって仕方なくなります。
フラッシュよりはマシかもしれませんが、シャッター音というのも参列者にとっては迷惑となる可能性は高いです。
ですから、カメラの設定などで変更できるのであれば、できるだけシャッター音は鳴らさないようにしましょう。
スマートフォンで写真を撮る場合は、シャッター音を消すことができるアプリなどを使うとよいでしょう。
〖焼香をしている参列者の視界に入りすぎないようにする〗
お葬式の写真は【焼香をしている時の様子】を撮ることもあります。
しかし、心を込めて焼香をしている時に、カメラを持った人が目の前をウロウロしていたり、ずっと自分にレンズを向けられていたら、焼香をしている人はそちらの方へ意識がいってしまいます。
焼香中の人をなるべく正面から撮りたくなるかもしれませんが、できるだけ焼香中の参列者の視界に入らないように注意しましょう。
〖祭壇へお尻を向けないようにする〗
お葬式で写真を撮る時にうっかりやってしまうことがあります。
それは、写真を撮るために、祭壇へお尻を向けてしまうことです。
写真は、その場の様子が分かりやすいように様々な場所や角度から写真を撮ります。
そこで、つい祭壇へお尻を向けてしまうことがあるのです。
祭壇には故人の棺が安置されていますので、そこへお尻を向けることは故人に対して失礼にあたります。
できるだけ祭壇へお尻を向けないように注意し、もしもお尻を向けてしまった時は、その後にお詫びの意味を込めて一礼をしておきましょう。
〖SNSに写真を載せない〗
近年では、多くの人がSNSを通じて様々な発信をするようになりました。
自分が見た物の写真や体験談など発信し、それをいろんな人が閲覧します。
SNSで発信した内容が誰かの役に立つこともありますので、それはとても素晴らしいことです。
しかし、お葬式の写真はSNSに載せないようにしましょう。
あなたは、お葬式で涙を流している自分の姿を、あなたが知らない他の誰かに見られても平気ですか?
多くの人は、自分が泣いている姿を他の人には見られたくないでしょう。
ですから、お葬式の写真を撮ることは問題ありませんが、それを不特定多数の人が見るSNSに載せることは控えましょう。
もしも、どうしてもお葬式の写真をSNSに載せたい場合は、後々のトラブルを避けるために、喪主や遺族はもちろん、写真に映っている全員の許可を得るようにしてください。
《まとめ:お葬式で写真を撮る時には注意点を厳守しましょう》
お葬式は、故人との本当に最後のお別れの場です。
ですから、故人との最後の思い出として、あるいはお葬式の記録として、または親戚の集合写真として、故人の姿やお葬式の様子を写真に撮っておきたくなるでしょう。
故人の姿やお葬式の様子を写真に撮ること自体は問題ありません。
ただし、あなたが参列者の立場として写真を撮る場合は、必ず喪主や遺族の許可を得るようにしましょう。
その他にも、
- フラッシュをたかない
- シャッター音を鳴らさない
- 焼香をしている参列者の視界に入らないようにする
- 祭壇へお尻を向けない
- SNSに写真を載せない
などの注意点があります。
お葬式の目的は、故人の冥福を祈り、最後のお別れをして、心を込めて送り出してあげることです。
それを妨げるような行為は控えるべきでしょう。
お葬式の写真を撮る時には、本記事で紹介したような注意点を厳守しましょう。
【参考記事】:なぜお葬式をするのか。お葬式をする意味とお坊さんの役目