冬場の寒い時期にお葬式があると、多くの参列者は葬儀式場まで【コート】を着て行きます。
じつは、お葬式に着て行くコートには、喪服と同じように、色、素材、形などに注意すべき点があります。
普段着ているようなコートで行ってしまうと、物によってはマナー違反となってしまう可能性があります。
この記事では、『お葬式にはどんなコートを着て行けばよいのか』について書いています。
故人やご遺族に対して失礼とならないように、着て行くコートにも注意をしましょう。
《お葬式に着て行くコートの色》
お葬式に着て行くコートの注意点の1つに【色】があります。
お葬式に着て行くコートの色は、やはり【黒色】が基本となります。
喪服は黒色ですが、【黒色】には『亡くなった人に対する悲しみの気持ちを表す』という意味があります。
ですから、喪服と同じようにコートの色も【黒色】がよいということです。
しかし、黒色であっても『光沢』のあるものはカジュアルな印象を与えかねないので避けるようにしましょう。
また、黒色のコートを持っていなければ、『濃紺』や『深いグレー』などでも問題はありませんが、やはり光沢のあるものは避けてください。
そして、もしも『濃紺』や『深いグレー』も持っていない場合は、他の《落ち着いた色》のコートを着て行きましょう。
ただし、お葬式に着て行くコートですから、たとえ落ち着いた色でも【赤、黄、青、緑】系の色は避ける方が無難です。
また、コートについては色だけではなく【模様(柄)】にも注意が必要です。
模様(柄)のないものが好ましいため、たとえ目立たないものであっても模様や格子柄などが入っていないものを着て行きましょう。
《お葬式に着て行くコートの素材》
お葬式に着て行くコートというのは【素材】にも注意が必要です。
お葬式に着て行くコートは『動物の毛皮を使用しているもの』を避けるようにしましょう。
なぜなら、動物の毛皮が使用されていることにより『殺生(せっしょう)』を連想させてしまうからです。
『殺生』というのは、【生き物を殺したり傷つけてはいけない】という仏教の厳格な決まりです。
したがって、仏式のお葬式に参列するにあたり、仏教の決まりに反しているものを着て行くのは不適切といえます。
動物の毛皮を使用しているコートには、よく襟の部分に『ファー』が付いています。
『ファー』は見た目で【動物の毛皮】であることが分かるので、取り外しが可能であれば外すようにしてください。
また、毛皮と同様に『レザー』のコートもお葬式へ着て行くものとしては不向きです。
『レザー』というのも動物の皮であることが見た目でわかってしまいます。
仮に本革ではなく【合成皮革】であったとしても、見た目が動物の皮であるものは、お葬式には不向きです。
また、素材については『ビニール』や『ナイロン』も避けるようにしましょう。
ビニールやナイロンはどうしても《光沢》が出てしまいます。
光沢のあるものはカジュアルな印象を与えかねないので、お葬式の場には不適切なのです。
また、生地同士がこすれた時に音が出てしまいやすいので、お葬式という《しめやかな場面》においては不向きです。
では、どのようなコートを着て行けばよいのでしょう?
お葬式に着て行くコートは、できるだけカシミヤやウールを使用したものがよいでしょう。
カシミヤやウールも【動物のもの】ではありますが、何度も生え変わる《毛》を刈ったものなので問題はないとされています。
また、素材がカシミヤやウールであれば、光沢もありませんし、生地同士がこすれても音が出ません。
それに、カシミヤやウールはとても保温性に優れているので、寒い時期のお葬式へ着て行くには最適です。
《お葬式では避けた方がよいコートの形》
お葬式に着て行くコートは【形】にも注意が必要です。
お葬式に着て行くコートには、できるだけ避けた方がよい形があります。
例えば、
- ダッフルコート
- ダウンコート
- フードのついたもの
- 装飾の多いもの
- ボタンの色が目立っているもの
です。
これらのコートは《マナー違反》というほどではありませんが、お葬式に適しているともいえない形です。
なぜなら、これらのコートはいずれもカジュアルな印象を与えかねないからです。
では、どのようなコートがお葬式に適しているかというと、やはり『礼装用コート』となります。
『礼装用コート』とは、その名のとおり、お葬式だけでなく結婚式でも使われる《正装用》のコートです。
しかし、『礼装用コート』というのは【正喪服】に合わせて着用するコートであり、ほとんどの人が着ている【準喪服】と一緒に着用するものではないのです。
また、お葬式へ参列するためにわざわざ『礼装用コート』を買うのも金銭的な負担が大きいでしょうし、他の場面で着用することができません。
そのため、実際のところ、お葬式には仕事の場面でも着用できる【ビジネスコート】で参列する人が多いです。
お葬式に着て行くコートについては仏教的な決まりがあるわけではなく、あくまでも、故人や遺族に対するマナーとして決められているものです。
ですから、お葬式のマナーとして、あなたの持っているコートの中で、できるだけ《落ち着いた色》で《華美な装飾が無い》もので《シンプルな形》のコートを着て行くようにしましょう。
《どうしても心配なら紳士服店に相談する》
お葬式に着て行く【喪服】や【コート】にはいろんなマナーがあります。
地域によっては、この記事で書いている内容以外にもマナーがあるかもしれません。
あなたが今ご覧のようなインターネットの検索などである程度は情報収集できますが、それでも心配であれば最寄りの『紳士服店』に相談してみましょう。
紳士服店では喪服やコートを販売していますので、冠婚葬祭に着て行く物に関する知識がありますし、その地域の習慣なども教えてもらえるでしょう。
ただ、当然ながら紳士服店も商売ですから【礼装用コート】の購入をすすめられるかもしれませんが、それを購入するかどうかの判断は慎重に行なって下さい。
お葬式へ着て行くコートは、あなたが自分で調べて得た情報と紳士服店で聞いた情報をもとに、クローゼットの中を見ながらよく考えて選ぶようにしましょう。
《まとめ》
お葬式は、故人の死を悼み最後のお別れをする非常に大事なセレモニーです。
お葬式では、喪服を着用することはもちろん、式場へ着て行く『コート』にも注意が必要です。
お葬式へ着て行くコートは、できるだけ、
- 光沢のない黒色で統一されたもの
- 毛皮や革製ではないもの
- カジュアルな印象を与える形ではないもの
- 装飾のないもの
を着用するように気をつけましょう。
そのようなコートを持っていない場合は、ビジネスコートで代用してもかまいません。
参列者の服装が故人の供養に影響を与えるわけではありませんが、故人や遺族に対する礼節として着用するものにも気をつけましょう。
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