先日、檀家様から「法事の時はどんな服装にすればいいのですか?」という質問がありました。
この【法事の服装】についての質問は多く、当院では日頃より『法事の際には【喪服】でお越しください』とご案内しています。
お葬式では『喪服』を着用しますが、法事の服装については迷ってしまう人が多いものです。
また、法事の案内に『平服でお越しください』と書かれていることもあり、平服とはどういった服装なのかと疑問に思うこともあるでしょう。
この記事では、法事に参列する時の服装と注意点について書いています。
法事へ参列する前に服装に関するポイントを押さえておきましょう。
《何回忌まで喪服を着用するの?》
法事の服装については、よく『三回忌までは喪服を着用した方がいい』と言われています。
なぜ《三回忌》で区切っているのでしょうか?
また、実際のところ、多くの方々はどの回忌まで喪服を着用しているのでしょう?
じつは、喪服については『〇〇回忌まで着用する』というような決まりはありません。
喪服の着用を『三回忌』で区切るのは、一般的に《三回忌頃になると故人を亡くした悲しみが少し癒えてくる》とされているからです。
もちろん、三回忌になれば全ての人が【故人を亡くした悲しみが癒える】というわけではありません。
しかし、中国では三回忌のことを『大祥忌』といい、この頃になれば悲しみから脱却し祥(さいわい)に向けて歩みだす時期と考えられているのです。
そのため、故人の死を受け入れ始め、少し悲しみが癒えてくる頃に合わせて喪服も着用しなくなる、ということなのです。
ただ、実際のところは三回忌以降でも喪服を着る人が多く、喪服を着るかどうかは施主またはお寺ごとの判断に委ねられています。
したがって、法事における喪服の着用については『〇〇回忌まで着用する』という決まりがないのです。
《法事の服装は【喪服】が望ましい》
法事での喪服着用については『〇〇回忌まで着用する』という決まりがありません。
しかし、決まりがないからこそ法事で何を着ればよいか迷ってしまいます。
仏事での服装については、原則として《故人の供養》を行う法要の場合は【喪服】を着用する、と覚えておきましょう。
あなたもご存じのように喪服の色は『黒色』です。
『黒』というのは【悲しみ】や【故人を偲ぶ気持ち】を表現する色です。
そして、どれだけ月日が経っても、つまり何回忌であろうと【故人を偲ぶ気持ち】は変わらずに表現するのが故人に対する礼儀だと思います。
ですから、お葬式の時と同様に、法事の時にも【喪服】を着用することが望ましいといえます。
ちなみに、喪服と呼ばれるものには、
- 正喪服
- 準喪服
- 略喪服
の3つがあります。
正喪服というのは、男性であればモーニングや紋付羽織袴、女性であればブラックフォーマルウェアや五紋黒喪服です。
準喪服というのは、男性であればブラックスーツ、女性であればブラックフォーマルウェアです。
略喪服というのは、男性であれば暗い色のスーツ(紺やグレーなど)、女性であれば暗い色の、スーツ・ワンピース・アンサンブルなどです。
この中で、一般的に【喪服】として私たちが着用しているのは『2.準喪服』にあたります。
準喪服を1着(または夏・冬それぞれ1着ずつ)持っていれば、お葬式と法事の両方のシチュエーションで使用することができますので、喪服を持っていない場合は購入しておくとよいでしょう。
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《法事の案内状に「平服でお越しください」と書いてあった場合》
法事をするときに、施主は親戚などの参列者へ事前に『法事の案内』を送ります。
そして、その法事の案内に「平服でお越しください。」と書かれているケースがあります。
参列する側としては、この『平服』というのが一番悩むかもしれませんね。
『平服』ということは喪服でなくてもよいわけですから、じゃあ【普段着】でよいのかというと、そんなことはありません。
『平服』というのは、普段着ではなく《法事に適した服装》という意味であり、それはつまり『3.略喪服』を意味します。
先ほどもお伝えしましたが、略喪服というのは、男性であれば暗い色のスーツ(紺やグレーなど)、女性であれば暗い色の、スーツ・ワンピース・アンサンブルなどです。
もしも、それらを持っていない場合は《略喪服に近い服装》で参列するようにしましょう。
では、《略喪服に近い服装》とはどのようなものでしょうか?
男女で共通しているのは、
- 暗い色のもの
- 光沢がないもの
- 柄がないもの
- 装飾がない(少ない)もの
です。
男性の場合でいうと、
- 中に着るワイシャツは白色
- ネクタイは黒色(または濃い地味な色)
- 靴下は黒色で無地
- 靴は光沢のない黒色で革靴、できれば金具のないもの
などです。
女性の場合は、
- スカート丈は座った時に膝が見えない程度のもの
- 中に着るものは暗い色のもの
- アクセサリーは『真珠』や『結婚指輪』は可
- 黒色のストッキング
- バッグは黒色で革製でないもの
- 靴はヒールの高さが低いもの
などがよいでしょう。
《子供の服装はどうすればいい?》
法事には大人だけでなく子供も参列します。
ということは、大人と同様に『子供の服装』にも注意が必要です。
もしも【子ども用の喪服】を持っているなら、ぜひそれを着させてあげましょう。
【子ども用の喪服】を持っていない場合は、大人と同様に先ほど紹介をした《略喪服に近い服装》にしてあげましょう。
また、幼稚園や保育園に通園されているお子様であれば【園服】でもかまいませんし、中学生や高校生の場合は【学校の制服】を着用すれば問題ありません。
しかし、大学生ともなれば、大人と同じように喪服を着用するようにしてください。
《まとめ:原則として法事には【喪服】を着用しましょう》
法事は、故人を偲び供養するために執り行います。
故人を偲ぶ気持ちは、心を込めて手を合わせること以外にも【喪服】を着ることで表現しています。
ですから、法事に参列する時は、回忌にかかわらず喪服を着用することが望ましいのです。
しかし、喪服を持っていなかったり、法事の案内に「平服でお越しください」と書かれていることもあるでしょう。
そのような場合は、
- 暗い色のもの
- 光沢がないもの
- 柄がないもの
- 装飾がない(少ない)もの
- 肌の露出が少ないもの
といった《略喪服に近い服装》をしてください。
法事の服装は施主からの指定があればその通りに、指定がなければ故人や故人のご家族に対して失礼とならない服装を心がけるようにしましょう。