あなたはどこかのお寺へ参拝したときに、そこで【全身が赤いお坊さんの像】を見たことがありませんか?
そして、多くの参拝者がその像を撫でていませんでしたか?
じつは、それは『賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)』様という非常に偉い方の像なのです。
賓頭盧尊者様の像は【なで仏】と呼ばれ、自分の体の悪い部分と同じ所を撫でると、病気やケガが治るとされています。
この記事では、たくさんの人から《びんずる様》の愛称で親しまれている『賓頭盧尊者』様ついて紹介します。
《びんずる様とはどんな人?》
多くのお寺にいらっしゃる《びんずる様》こと『賓頭盧尊者』様。
びんずる様の正式なお名前は『賓頭盧頗羅堕(びんずるはらだ)』といいます。
びんずる様はお釈迦様の弟子の1人であり、さらに【十六羅漢(じゅうろくらかん)】の1人にも位置付けられています。
羅漢というのは《阿羅漢(あらかん)》の略称で、阿羅漢とは【ほぼ悟りを得た状態で、尊敬され供養される人】を意味する言葉です。
また、びんずる様は『神通力』という偉大な超能力をお持ちで、特に《病を治す能力》に長けている方でした。
そのため、お寺にある賓頭盧尊者像は、本堂の外へお座りになり、いつも私たちの健康を祈ってくださいます。
《びんずる様は【なで仏】として有名》
多くのお寺では、びんずる様を【なで仏】としてお祀りしています。
【なで仏】というのは、その名のとおり人に撫でられる仏像のことです。
参拝者は、自分の体の悪い部分と【なで仏】の同じ部分を撫でると、撫でた部分の病気やケガが治ると言われています。
びんずる様は《病を治す能力》に長けていたことから【なで仏】として有名になり、いろんなお寺で多くの信者さんに親しまれているのです。
《びんずる様の体が赤くて外にいる理由》
びんずる様の像には特徴が2つあります。
それは、
- 本堂の外にいらっしゃる
- 全身が真っ赤
という2点です。
では、なぜびんずる様にはこのような特徴があるのでしょうか?
びんずる様は、お釈迦様の弟子の中でも特に優秀な方でした。
ところが、びんずる様はある時、大勢の人の前で自らの神通力を見せびらかしてしまいました。
それを見たお釈迦様は大変お怒りになり「お前は修行者らしからぬことをした!お前は涅槃に入ることはせず人々の病を治して救い続けよ!」とおっしゃいました。
そのため、びんずる様は本堂の中ではなく、いつでも人々の様子が見られるようにずっと外にいらっしゃるようになりました。
また、びんずる様は全身が真っ赤です。
びんずる様は『お酒』が大好きな方でした。
しかしながら、仏の道を歩む者は【修行の妨げ】となる《お酒》を飲むことを厳しく禁じられています。
ただ、そうはいっても無類の酒好きのびんずる様、どうしても我慢ができず、ある時みんなに内緒でお酒をちょっと一口。
最初は『ほんの少し飲むだけ』のつもりが、気が付けば全身が真っ赤になるまでお酒を飲んでしまいました。
このこともすぐにお釈迦様に知られてしまい、当然ながら強いお叱りを受け、以後は本堂へ入ることさえ許されませんでした。
このような理由から、びんずる様は《全身が真っ赤》な姿で《本堂の外》にいることになりました。
しかし、びんずる様はとても反省をされ、それ以後は一切お酒を飲まず、ただひたすら修行に励まれ人々の救済を続けました。
その結果、びんずる様は全身が生気に満ちあふれて赤くなり、誰よりも先に人々の苦しみを取り除くため、あえてお堂の外に出ておられるようになったのです。
これが、現在のびんずる様が《全身が真っ赤》で《お堂の外》におられる理由です。
《まとめ》
参拝者に撫でられる【なで仏】として有名な『びんずる様』。
びんずる様が《全身が真っ赤》で《本堂の外》におられるのは、修行によって全身に生気が満ちあふれていること、そして自分が真っ先に人々の病を治してあげたいという強い気持ちの表れです。
そんな『びんずる様』を頼りにして、多くの参拝者が自分の体の悪い部分と『びんずる様』の同じ部分を撫でて、病気やケガの治癒を祈ります。
これからも『びんずる様』は多くのお寺で、たくさんの人々に撫でられ愛されることでしょう。
金剛院にも正和殿(本堂1階)の入り口に『びんずる様』がおられますので、ご来院の際にはぜひお参りください。