墓地を使用する際には寺院や霊園へ『永代使用料』を納めます。
そして、お墓について調べているとよく目にするのが『永代供養料』という言葉。
『永代使用料』と『永代供養料』、両者は似たような名称ですが意味がまったく違います。
本記事では『永代使用料』と『永代供養料』の違いについて紹介しています。
どちらもお墓を使用する上で理解しておくべき事柄なので最後まで読んでみてください。
◇永代使用料と永代供養料の違い
永代使用料と永代供養料はどちらもお墓に関連する費用ですが、下記のとおり意味は全く違います。
- 永代使用料:墓地を永代にわたって使い続けるための費用
- 永代供養料:寺院が永代にわたって供養し続けるための費用
では、それぞれ詳しく解説をしていきます。
【永代使用料】
お墓を建てるためには、まず『墓地』を確保する必要があります。
そして、墓地を確保するには、寺院や霊園へ【永代使用料】を納めて『墓地の使用権』を得なければなりません。
墓地の使用権を得た後は、管理料などの費用を納めることでその墓地を使い続けることができます。
しかし、
- 継承者が誰もいない
- 必要な費用を納めない
- 使用規程に違反した
などがあれば、墓地を返還しなくてはいけません。
なぜなら、墓地というのは使用者が『購入した土地』ではないからです。
あくまで墓地の所有権を持っているのは寺院や霊園であり、使用者が持っているのは墓地の【使用権(借地権)】だけです。
そのため、使用者の一存で墓地を売却・譲渡・転貸することはできません。
永代使用料を納めたことで『墓地を購入した』と誤解する人がとても多いので注意してください。
【永代供養料】
近年では【お墓の継承者がいない】という問題を抱える家が増えています。
お墓の継承者がいなくなると【墓じまい】を行い、遺骨は寺院の合葬墓などに移して『永代供養』されます。
永代供養とは、無縁となった遺骨を合葬墓等へ埋葬し、寺院が永代にわたり供養をしていくことで、このときに寺院へ納められるのが『永代供養料』です。
永代使用料が《墓地の使用権を得るための費用》であることに対し、永代供養料は《無縁仏とならないように供養をし続けてもらうための費用》なので意味がまったく違うのです。
また、永代使用料は墓地1区画に対する費用ですが、永代供養料は遺骨1体に対する費用であることが多いので、遺骨の数が多ければそれだけ費用も大きくなります。
◇永代使用料と永代供養料の支払い
続いて、永代使用料と永代供養料の支払いについて紹介します。
永代使用料については、墓地使用申込みの時など【墓地の使用が始まる前】に支払うことがほとんどです。
しかし、永代供養料については寺院や霊園によって支払うタイミングが異なります。
一般的に、永代供養料を支払うのは『遺骨を永代供養墓へ納める時』ですが、近年ではいろんな形態の墓地があるため、それぞれの仕様に合わせて支払います。
例えば、当院にあるような【永代供養付きの墓地】の場合は、墓地使用申込みの時に永代供養料の『先払い』をします。
また、永代使用料と永代供養料のどちらも基本的には【全額一括支払い】ですが、寺院や霊園によっては【分割支払い】ができることもあるので確認をしておきましょう。
◇墓地を返還したら永代使用料は返金されるの?
お墓に関して、「墓地を返還するときは、支払った永代使用料の一部(または全額)を返してもらえるのですか?」という質問がときどきあります。
寺院や霊園の方針によりますが、基本的に永代使用料は返金されないでしょう。
立派なお墓を建て、大切な家族の遺骨を納め、長い間お墓参りをしてきた場所なので、返金はされなくても墓地に感謝して返還をしましょう。
しかし、事情があってお墓を建てる前に墓地が不要になってしまうこともあります。
不要となった墓地は、お寺や霊園に返還しなければなりません。
では、お墓を建てていない墓地というのは、いわば【未使用】の状態なので、その場合は支払った永代使用料を返金してもらえるのでしょうか?
これも寺院や霊園の方針によりますが、墓地は一度使用契約が成立すると、墓石が建っていなくても永代使用料は返金されないことが多いです。
特に、墓地使用契約をしたときからの期間が長いほど返金の可能性は低くなるでしょう。
基本的に永代使用料は、一度墓地使用契約をしたら返金はされないと認識しておいた方が無難です。
◇まとめ
『永代使用料』と『永代供養料』は似ている言葉ですが、
- 永代使用料:墓地を永代にわたって使い続けるための費用
- 永代供養料:寺院が永代にわたって供養し続けるための費用
というようにそれぞれ意味が違います。
永代使用料については、費用を支払うことで墓地を購入できるわけではないので注意しましょう。
そして、墓地使用契約が成立した後は基本的に永代使用料が返金されないため、申し込みをする前に家族でよく話し合いをしてください。
永代供養料については、遺骨1体に対して発生し、支払うタイミングは寺院や霊園によって異なりますので事前確認が必要です。
『永代使用料』と『永代供養料』それぞれの意味をしっかりと理解してから、お墓の建立または永代供養を検討しましょう。
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