「仏壇の扉はずっと開けておいていいんですか?」
檀家様から時々このような質問を受けます。
仏壇には扉がありますので、それを開け閉めするタイミングはいつなのか、ということが気になるわけですね。
あなたも同じような疑問をお持ちでしょうか?
結論から先に申しますと、仏壇の扉は常に開けておいて構いません。
基本的に『仏壇の扉は閉めない』という認識でいいと思います。
《仏壇を常に開けておく理由》
なぜ仏壇は常に開けておいてもいいのでしょうか?
仏壇には【ご本尊様】がおられます。
ご本尊様は、あなたやご家族はもちろん、あなたの家全体を常に身守って下さる存在です。
ですから、【常にご本尊様が家の中を見渡せるような状態】にしておかなければいけません。
しかし、仏壇の扉を閉めるとご本尊様は何も見えなくなってしまいます。
ご本尊様にはいつでも見守って頂きたいので、仏壇の扉は開けておきましょう。
《夜は扉を閉めた方がいいの?》
仏壇の扉を開けるか閉めるかについては、人によって意見が別れるところです。
ですから、「仏壇の扉は夜になったら閉めておくべき。」という人もたくさんいます。
【夜に扉を閉めるべき】と考える理由は、仏壇が『本堂の縮小版』だからでしょう。
つまり、「仏壇は本堂の縮小版なのだから、お寺と同じように夜になれば扉を閉めるのが当たり前」ということですね。
たしかに、どこのお寺でも夜になれば本堂の扉は閉めています。
これは、もちろん本堂内のイタズラや盗難などに備えた【防犯】のためです。
では、仏壇も同じようにイタズラや盗難に備えた【防犯】のために扉を閉めた方がいいのでしょうか?
そんなことは必要ありませんよね?
【防犯】の必要がないのですから、扉を閉める理由はありません。
《家族に不幸があった時には扉を閉めるの?》
仏壇の扉については【家族に不幸があった時は閉める】と言う人が多いです。
あなたもそのようなことを聞いたことがありませんか?
しかし、今後もしもあなたのご家族に不幸があったとしても、仏壇の扉は開けておいて構いません。
家族に不幸があった時に扉を閉じるのは『神棚』です。
ただし、神棚は【閉じる】というよりも【半紙で覆う】という方が正しいでしょう。
人の死を【穢れ】として考える神道では、故人のご遺体を神様にお見せしないように、神棚の正面を半紙で覆い隠すのです。
ちなみに、これを『神棚封じ』といいます。
一方で、仏教の場合は、人の死を【穢れ】とは考えておりません。
故人は仏の世界へと旅立たれ【仏弟子】となられますので、むしろ仏壇の扉を開けて家族が亡くなったことをご本尊様へお知らせするべきです。
※〖関連記事〗なぜお葬式をするのか。お葬式をする意味とお坊さんの役目
《大がかりな掃除をする時には閉める》
仏壇は基本的に開けておいて構いませんが、年末の大そうじなど【大がかりな掃除】をする時は閉めたほうがよいでしょう。
さすがに大がかりな掃除となると部屋全体にホコリが舞ってしまいますので、その時ばかりは閉じていいと思いますよ。
扉を閉じる時には「ご本尊様、少しだけ閉じさせてもらいますね。」と一声かけておくといいですよ。
《まとめ:仏壇の扉は常に開けておきましょう》
仏壇は毎日【開け閉め】をするものなのかどうか、これは意見が別れるところですが、当院としては【扉は常に開けておいてよい】とお伝えしています。
仏壇には必ず【ご本尊様】が祀られ、ご本尊様はあなたやご家族だけでなく、あなたの家全体を見守って下さいます。
しかし、仏壇の扉を閉めてしまったらご本尊様の視界をさえぎってしまいます。
わざわざそんなことをする必要はありません。
また、もしご家族に不幸があった時でも仏壇の扉は開けておいて構いません。
故人の姿をご本尊様に見て頂いて、間もなく仏弟子となる故人をしっかりとお守り頂けるようにしておきましょう。
仏壇の扉を閉めるのは【大がかりな掃除】をする時くらいでいいのです。
それ以外は、昼夜を問わず常に扉を開けておきましょう。
※〖関連記事〗仏壇の意味や役割とは何ですか?