皆様、明けましておめでとうございます。
輝かしき新春を迎え、ご尊家皆々様のご清栄とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
さて、皆様はもう今年の目標を立てられましたか?
私の今年の目標はダイエットです。
なぜなら、京都でお坊さんの資格を取る修行を終えてから、ほんの少しだけ(たったの10kg)太ってしまったからです。
京都で修行をしていた頃は、規則正しく質素な食生活を送っていたので、太ることなんてありませんでした。
しかし、修行を終えてからはというと、修行中に食べることができなかった美味しい食べ物を好き勝手に食べていたので、気がつけば体重計には目を疑うような数字が表示されていました。
何かの間違いかと思い、もう一度体重計に乗ってみましたが、表示されている数字は同じです。
私は「これはもう・・・ダイエット・・・だな。」と覚悟を決めました。
しかし、一言に『ダイエット」といっても、
- 炭水化物の摂取を減らすといったような【食事制限】をするもの
- 水泳、ランニング等といったような【運動】をするもの
など、種類はたくさんあります。
いくつかの方法を試してみて分かったのは、『極端に頑張り過ぎない』ことが大切だということです。
食事制限を頑張り過ぎると、一時的には体重が減るかもしれませんが、リバウンドしやすかったり、元気が出なかったりします。
運動を頑張りすぎると、基本的に長続きしませんし、運動に慣れる前に身体を壊してしまいます。
たくさんあるダイエット方法の中から【自分に合った方法】を見つけ出し、それを【自分のペース】で無理なく続けることが大切なのでしょう。
ダイエットだけではなく、どのようなことでも【極端すぎる】というのは良くありません。
仏教を開いたお釈迦様も、
- 「極端に偏(かたよ)らず【真ん中】の道を進みなさい。」
とおっしゃいました。
この教えを『中道(ちゅうどう)』といいます。
『中道』の教えは、「欲望のままに生きても、反対に厳しすぎる修行をしても、どちらを選んでも悟りを開くことはできない。どちらかに偏らずに、丁度よい【真ん中】の道を進みなさい。」ということです。
『中道』に関してこのような話があります。
お釈迦様のお弟子様達の中に、【琴(こと)】の演奏がとても上手な《ソーナ》という方がおられました。
ソーナさんは熱心に修行に励んでいましたが、どれだけ厳しい修行をしてもなかなか悟りを得ることができませんでした。
そんなソーナさんの様子を見かねたお釈迦様は、ソーナさんに声をかけました。
お釈迦様:「ソーナよ、お前は【琴】が得意だと聞いたが本当か?」
ソーナ:「はい。誰にも負けない自信があります。」
お釈迦様:「そうか。ところで、【琴】というのは弦を強く張り過ぎてしまったとしても、良い音色は出るものなのか?」
ソーナ:「いいえ、出ません。」
お釈迦様「では、逆に弦を緩く張ってしまった時の音色はどうだ?」
ソーナ:「同じです、緩くても良い音色は出ません。弦は丁度良いように調整がされて、それではじめて良い音色が出ます。」
すると、お釈迦様はニッコリと笑いながら、
「ソーナよ、修行というのは琴の弦と同じなのだよ。無理をして頑張り過ぎても、反対に怠けていても『悟り』を得ることはできない。どちらにも偏り過ぎない【真ん中】を進みなさい。」
とおっしゃいました。
これを聞いたソーナさんは【中道】を進み続け、しばらくして悟りを得ることできました。
とはいえ、【真ん中】の道というのは人によって違います。
ボディービルダーやボクサーがしているような減量と、私たち一般人がしているダイエットでは方法がまったく違うように、人それぞれに【真ん中】の道があります。
皆様が今年立てた目標も、お釈迦様がおっしゃったような『両極端に偏らない【真ん中】の道』を進むようなものにしてみてはいかがでしょうか?
〖記事投稿者:金剛院僧侶『K』〗